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『入れ歯、その先に見えたもの。』

入れ歯は、悪くありませんでした。

ある患者さんのお話です。

だからこそ、このお話を書こうと思いました。

以前からお使いだった入れ歯は、痛みが強く、使用できなかったとのことでした。

その後、入れ歯も紛失してしまい、

「もう一度、右でもしっかり噛めるようになりたい。」

そんな思いから新しい入れ歯を作ることになりましたが、以前と同じように作るわけにはいきませんでした。

長い間、入れ歯を使用しなかったことで、噛み合わせのバランスも少しずつ変化していたからです。

そのまま新しい入れ歯を作っても、前回と変わらない結果になる可能性が高い。

そこでまず、

入れ歯が自然に入る環境を整えるための前処置を行いました。

入れ歯は、作る前の準備もとても大切だからです。

そのうえで、

まずは教科書に忠実に、両側で支える保険の入れ歯を作製しました。

しかし、違和感は思っていた以上に大きく、何度も調整を重ねました。

その後、患者さんのご希望をもう一度伺ったうえで、自費の片側義歯を作製することにしました。

違和感は大きく改善し、患者さんにも喜んでいただけました。

それでも、

「ずっと入れているのは、やっぱり難しいんです。」

診療室で、そんな言葉を聞くことがありました。

調整を重ねても、長時間使うことはできない。

入れ歯が悪かったわけではありません。

患者さんも、本当に頑張って使ってくださいました。

それでも、その方にとって必要だったのは、

「もう少し自然に噛める毎日」

だったのです。

そして、ある日。

患者さんから、こんな言葉がありました。

「先生、インプラントのお話を聞かせてもらえますか。」

私は最初からインプラントを勧めたわけではありません。

保険の入れ歯も、自費の入れ歯も、患者さんにとって最善の方法を探しながら、持てる知識を総動員し、一緒に試行錯誤を重ねました。

その時間があったからこそ、最後に患者さん自身が選ばれたのが、インプラントでした。

患者さんが選ばれた治療が、ここから始まります。

入れ歯の、その先に見えたもの。

それは、

インプラントそのものではありませんでした。

もう一度、

右でも左でも、

気にせず食事を楽しめる毎日。

患者さんが本当に望んでいたのは、

そんな当たり前の日常だったのだと思います。

この物語には、まだ続きがあります。

数か月後――

『再会。噛む力、再び。』

その日を、またお届けできればと思います。

🦷 『へぇ、歯。』

清藤歯科

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