大学に入学して以来の、親友がいる。
卒業後、それぞれ違う道へ進んでからも、
会えばお互いの近況を話してきた。
彼が留学する直前の出来事を、今でもよく覚えている。
「近いうちにこちらに来る予定ありますか?
留学する前に一度会いませんか?
相談したいことがあるんですよ。」

そう言われて、二人で焼肉を食べに行った。
焼肉を食べていたはずなのに、
気づけば彼はその場でパソコンを開き、
私に留学についてのプレゼンを始めたのである。
『焼肉屋で、やるのかよ!(笑)』
驚いてそう言ったのを今でもよく覚えている。
でも今思えば、
一つのことを深く掘り下げ、突き詰めていく。
昔から、そんな人だったのかもしれない。
今回、二人だけでゆっくり話すのは数年ぶりだった。

学生だったあの日から、随分と年月が経った。
お互い歳を重ね、
今ではそれぞれに子どももいる。
仕事でも、家庭でも、
お互いに今はいろいろな立場がある。
それでも会えば、学生時代の話に花が咲く。
そして不思議なことに、
気持ちまで、若かりしあの日に戻る。
昔の話で笑いながら、
やがて話は、今の仕事のことへ。
彼は一つの専門性を貫き、
その道を歩き続けてきた。
私は、そんな彼を尊敬している。
長い年月を重ね、今の立場にいる彼を見ると、
自分とは違う道を歩んできたことを、改めて感じる。
その姿に、憧れのような気持ちもある。
今でも専門的な意見を聞きたい症例があれば、
彼に見てもらい、アドバイスをもらうことがある。
逆に彼から、
人との関わり方や、後輩のモチベーションについて
相談されることもあった。
専門分野では、私が彼を頼る。
でも違う場面では、彼が私を頼ってくれる。
そんな関係が、今でも続いている。
一方の私は、地元で日々の診療を続けながら、
興味を持ったことや、必要だと思ったことに、
その都度挑戦してきた。
一つの道だけではなく、
いろいろなことをやってみる。
それが、私の歩いてきた道だった。
そんな話をしている時、彼が言った。
「自由に何でも挑戦する清藤さんが羨ましいですよ。」
少し意外だった。
私は、専門性を極めた彼を尊敬している。
でも彼は、
私の歩き方を羨ましいと言う。
学生時代の私を知る彼からすれば、
今の姿は少し意外らしい。
「あれだけ学生の頃は勉強せずに、遊んでばかりいた清藤さんが……(笑)」
今では中学校や施設で講義をしたり、
興味を持ったこと、必要だと思ったことに挑戦したり。
そして彼は、
「会うたびに、本当に楽しそうに仕事の話をしますよね。」と言った。
今日も私は、
「仕事は、自分で楽しくやらないと損だよ。」
と話していた。
気がつけば、二時間半。
それでも最後は、
「時間が足りないね。また近いうちに会いましょう。」と笑って別れた。

出会って、もう30年。
卒業後、それぞれ違う道を歩いた。
進んだ道程に、お互いが見たもの。
それは、
自分にはないものを、尊敬する気持ちだった。